2025年8月8日

オラファーエリアソンのスタジオに飛び込んだ帰り道、空腹と眠気とアドレナリンで脳みそが点滅している。このあいだおすすめされた豆乳スイーツの店がすぐ近くにあるのは知っていた。入り口まで行って丁寧にカットされたスイーツの姿を確認まではしたけど、いま私が欲しいのはそれじゃない。Google Mapに「vietnam」と入力すると近くにいくつか気軽な店がありそう。最寄りのお店の評価がそこそこ良かったので、迷う隙を与えないようすぐ入店する。鶏肉のフォーが食べたい。ついでにBECK’Sの瓶ビール。

注文直後、この店の唯一の料理人らしきお父さんが重そうに腰をあげたので時間かかるかなと思っていたけど3分くらいで出てきた。たとえ出来合いでもアツアツだしありがたい。知ってるスープの味。でも鶏肉がもりもり食べられて嬉しい。

それはさておき、こういう構成のたべものには絶対にレンゲのような形状の大きなさじがあったほうが美味しく食べられるのに、ベルリンのベトナム料理屋には素っ気ないシルバーのスプーンしかない。いや、スプーンじゃないんだよ。レンゲは、「ここに一旦ステイする」ための形をしている。麺を掴んだ箸の先が落ち着く踊り場。汁と絡みたての最もフレッシュな状態で食材が口に運ばれるための踏切台。レンゲは器と箸のあいだのもの。しかしスプーンの形状は全くもってそれではない。スプーンは口に含まれるための形をしている。その窪みの上で毎回完璧を目指しているというプライドがある。だから左手に掴まれて心外そうにしている。私をそんなふうに使うのやめてもらっていいですか。