スタートの2週間を終えて、初めてのちゃんとした休みの最終日。働いているあいだは日記を書く余裕がまだ全然ない。
時間ができるたびに100円ショップに行っている気がする。とにかく頻繁にものが無くなるので何度も買い直しに行く。一番の理由は制服のエプロンに唯一ついている胸ポケットにペンやらピンセットやらをしまうほかないのにそのポケットがやたら浅くて小さくて、かがむたびにものを落とすから。もちろん毎回拾うんだけど一度に複数のものが落ちるしどこかに滑って行ってしまうので、たまになにかを拾い損ねたりする(ポケットの中に強力磁石を入れてみたりしたがそこまで効果がない)。あと、結構な人数の料理人がすごい勢いで働いているので、いつの間にか自分の道具がどこかで使われてしまってそれ以降見当たらないみたいなことが本当によくある。だからみんな自分の道具には自分の名前のシールを貼っている。そして社員はひとりひとつ、お道具箱みたいなトレイを与えられていて、そこに必要なものをしまっている。そうしないと、ものが散乱して本当に仕事がしづらくなってしまう。困ることも多いが、ちょっと落ち着いてみると、そういう細かい文化が見られるのは楽しい。
インターン同期ともまだあまりゆっくり喋る余裕がないのだけど、まかないを食べている15分くらいのあいだ席が近ければちょっと話す。以前の仕事場で縁のあった生粋の料理人の彼(私からしたらそう見える)とちらっと話した時、コース料理のすべての皿がどう構成されているのか、聞き書きで情報を集めてようやくほとんどわかってきたと聞かされてびっくりした。彼の情報収集能力に対してはもちろんのこと、それを「できなかった」のではなく「しなかった」自分、すなわち私にはそんなことをする余裕がなかったというよりは一皿ずつの作り方についてそこまで興味がなかったということに気づき、そしてその差異は「なぜ私がいまここにいるのか」の重要な手がかりになるだろうと思った。
味も作り方も仕入れ先も知りたいし、あのスピードとクオリティを当たり前にキープできるようになりたいし、ゲストにとってあるいは世界にとってその料理のどんなところに価値があるとされているのか多面的に理解したい。しかしそれ以上に、あれだけの数の人間がいて世界トップレベルにモチベーションとクオリティを維持してきた(私にはそう見える)チームづくりに、そこにいるひとびとに興味がある。飛び交う言葉のトーンとか、採用基準とか、ひとりひとりの目標とか。
nomaが打ち立てた「新北欧料理10のマニフェスト」を読む限り、このさき真剣に(地球環境を決して無視せず、生き物を扱い、その土地と季節を表していて、美しく思いやりがあり感動に値する)料理をしていくのであれば、彼らの影響を逃れることはほぼ不可能だと思う。だから参加しようと思った。いまのところ料理についてはまだよくわかっていないけど、少なくとも人間のありかたを見て、きっかけの仮説は実感に変わりつつある。私たちは、あのパワー(愛とも言い換えられる)の影響を逃れられない。ならばいっそ、勝手に暖簾分けしてもらう気持ちでやる。まだまだやれそうだし。残り2ヶ月を突っ走りたい。